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質問7:

知的障害が重すぎて歩行を習得できない子供もいるのではないでしょうか。

 

 この質問に答える前に「学ぶ」という言葉の定義を見つける必要があります。確かに人間の赤ちゃんは、他の動物と違って生まれたばかりの時は歩くことができません。しかしたいてい1才頃までには大人が直接教えなくても自然に歩行を「身につけ」ます。このように自動的に歩く技能を習得するためには、脳の運動を司る部分にひどく損傷がないことが、最も重要ながらおそらく唯一必要な条件だと思われます。

 経験、または歩行に必要な動きを練習する機会があれば、脳が成熟するにつれて筋が萎縮するのを防ぐことができるものの、経験のあるなしが歩行を身につけるうえで大きな役割を果たしているわけではなさそうです。誕生後数カ月間病気だったり動かないようにされていた赤ちゃんや、赤ちゃんを袋に入れて背負うことが習慣であるアメリカインディアンやエスキモーの子供たちを対象とした調査では、そのような子供たちは機会さえ与えられればすぐに「追い付く」ことがわかりました。脳の認知を司る部分の障害が歩行を身につけることに及ぼす影響は、ほとんどあるいはおそらく全くないと思われます。

 知的障害が歩行能力に与える影響はほとんどないと報告しているのはBleckです。1979年、Shapiro, et alは重度の知的障害をもつ子供152人を対象に調査を実施しました(Bleck、1984年)。これらの子供には後天性あるいは進行性の退行性疾患はありませんでした。調査の結果、主だった神経障害のない子供はほとんど6才までに歩き始めましたが、知的障害と脳性まひを合わせもつ子供のうち歩行を習得したのはわずか10%でした。彼らの結論は、子供が歩行を習得するかどうかを決める主な要因は脳の運動分野への損傷の有無であり、知的障害のあるなしはほとんど関係がないとのことです。

 以上のことからたいていの専門家が導かれる結論は、脳の認知を司る部分に損傷がある場合は、歩く技能を自然に習得するその過程を遅くすることはあっても、歩行の能力を奪ってしまうことはないということです。                               


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