質問1質問2質問3質問4質問5質問6質問7質問8

質問6:

 股関節脱臼、脊柱側弯症、他の関節の変形についてはどのように対処するのですか。



 Bleck(1984年)は、重い身体的障害をもつ子供の身体に起こる変化の中で、最も一般的かつ重大な変化は股関節の完全あるいは部分的な脱臼だとしています。子供が出生時に脱臼していることはほとんどありません。しかし成長の過程において、筋がけいれん性のある動きによって異常に引っ張られたり大腿骨がねじれることにより変形が進んでいきます。つまりある一対の筋が脚を一方向に引いても、対応するもう一対の筋がその力に対抗して引き戻すことができずバランスがとれなくなります。その結果、大腿骨がその屋根である寛骨臼(股関節窩)から離れていき最後には完全に外れてしまうのです。足に体重をかける機会がないことも重大な要因です。

 脳性まひの子供の中には骨そしょう症になる子供がいますが、Bleckによると、それはほぼ例外なく身体全体に麻痺がある、車椅子に頼っている、一日の大半を横になって過ごしている子供に限って起こっているとのことです。骨そしょう症の原因は、足に体重をかけない、また骨に正しい力がかからないことに他なりません。

 また、股関節脱臼も身体全体に麻痺があり自立歩行ができない人だけに見られることが彼の調査でわかりました。彼は、4〜5才までに歩けるようになった子供が股関節脱臼になる可能性は極めて小さく、支持具を使って部分的にでも足に体重をかけて家の中で歩くことができる子供は、亜脱臼(部分的な脱臼)にはなっても完全に脱臼することはないとの結論に達しています。歩けるかどうかが股関節脱臼になるかを決める大きな要因なのです。一般的に、腸腰筋のけいれんによる股関節の屈曲拘縮と大腿骨のねじれを合わせもつ人が、自立歩行ができず座ったり横になった状態で長時間過ごすと股関節脱臼になる、部分的にでも足に体重をかけられる人は亜脱臼ですみ、完全に体重をかけられれば正常でいられると言うことができます。

 Scrutton(1984年)は、脊柱側弯症は骨盤が左右対称でなくなった結果二次的に起こるものであると付け加えています。つまり片方の股関節が脱臼すると、座るための土台となる骨盤が水平でなくなるために胴体を正しい位置にもってくることができなくなります。その歪んだ骨盤の上で胴体をまっすぐにしようとすると、背骨がそれに合わせようとするために彎曲が起こるのです。従って、脊柱側弯の予防には骨盤を水平に保つことが重要であり、股関節脱臼やその結果起こる骨盤の左右非対称を防ぐ秘けつは、両脚を離して内側に向かないようにする、そして早い時期から足に体重をかけることにあります。

 要するに、股関節脱臼、骨盤の歪み、骨そしょう症を防ぐ最善の方法は、正しい姿勢で足に体重をかける機会を多く与えるということです。「痛みを伴わない」限り、股関節の状態に関係なく歩行できない生徒は全てそのような機会を与えられるべきだというのが、私たちの整形外科医の意見です。ただし、生徒に痛みや不快感があるのであれば、手術が唯一の手段となるでしょう。

                                


MOVE International
1300 17th Street-CITY CENTRE
Bakersfield, CA, USA 93301-4533

www.move-international.org
MOVEインターナショナル日本支部事務局  
〒174-0041 東京都板橋区舟渡3-17-2-201  
TEL&FAX 03-3967-4394  
または 栃木事務所
TEL&FAX 0287-54-1430