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座位、立位、歩行を子供に教えるのは誰の役目ですか。
ここでは「教える」という言葉が鍵となります。子供は普通きちんとした指導をしなくても座る、立つ、歩くといった運動技能を身につけます。理学療法は従来、疾患重視の医療的対処法にならってきました。つまり、障害を引き起こしている本来の問題に取り組めば、自然に技能が習得されるという考えに立ってきたのです。 しかし、慢性かつ重度の障害を抱える生徒が、セラピーの現場で学んだ技能を学校や家庭といった別の環境で応用することができない事実が明らかになった時点で、両親、教師、セラピストを巻き込んで技能そのものを教えることが不可欠となりました。
セラピストが運動機能障害のある子供に対して、慣習的に疾患重視の対処法を使ってきたというのはBleck(1984年)の観察によります。言い換えれば、子供が普通に発達していくために「疾患そのものを治す」という試みがなされていたのです。しかしBleckは、残念ながら脳損傷そのものに対する治療法はなく、脳性まひの子供は脳性まひの大人になるだけだと述べています。もし子供が同じ障害を抱えたまま大人になり、結果的に社会参加の機会が減りこそすれ増えないのであれば、疾患重視の対処法は実質的に失敗であったとみなされます。一方、機能重視の対処法では、生徒に学ぶ経験をさせることを優先することによって他への依存度を低くしていくことができます。具体的に重要度の高い順から挙げると、コミュニケーション、日常活動、移動、歩行などを実際に経験することを意味します。
第一級のセラピストや医療関係者の間では、姿勢管理と身体動作の手順が生徒の日常生活のあらゆる場面に組み入れられない限り、そのセラピーには何の価値もないということで一般的に意見が一致しています。
Campbell(1984年)は、姿勢管理プログラムには、骨と関節の健康を確保するものであれば受動的な活動も含まれると定義づけました。受動的な活動とは、補助を受けて正しい座位をとらされる、起立台などを使って立位をとらされる、異常な筋緊張やそれが引き起こす変形の可能性を軽減する姿勢に置かれる、またはそのような姿勢に置かれて動かされることなどを指します。一方、指導/活動プログラムは日常生活で機能的に使われる具体的な動きを教えるものです。姿勢管理プログラムは、生徒が運動技能を身につけ、自分の力で移動して身辺自立を果たす段階にくるまで必要とされます。
MOVEプログラムは、特殊教育とセラピーを組み合わせたチームアプローチを基本としており、環境調査、ゴールの優先付け、年齢に応じた技能、課題分析、活動に参加するための補助、補助の減少、そして学習の四段階(習得、習熟、維持、応用)といった要素が含まれています。特殊教育とセラピーは、この四つの学習段階を通して技能の指導を共同で受け持ちます。どちらの分野がリーダーとなるかは個々の生徒にセラピーを受ける資格があるかによって決めます。セラピーを受けられる生徒ならばセラピストが指揮をとることができます。そして教育分野のスタッフが両親と話し合い、トップダウン方式を採用しながら短期的、長期的ゴールを決め、それから双方の分野のスタッフでプログラム実践の計画を立てるという手順で進めます。
両親は学習の四段階のどの段階においても指導に参加することができます。生徒の技能が維持段階に入る頃には、それ以前に使っていた姿勢管理の方法に比べると生徒を扱うのがはるかに楽になっており、どんなに忙しい両親も喜んで参加するのが普通です。
しかし、生徒自身や生徒の学習活動に関しては、両親もセラピストや教師と情報を共有し意志決定にも関わりますが、実際の指導については希望しない限り必ずしも参加しなければならないわけではありません。
Bleck(1984年)の調査ではセラピーが家族に与える影響が指摘されており、まず自宅用セラピープログラムをこなすにはかなりの時間と労力が必要で、そのために両親と子供の本来の関係を壊す可能性もあるとあります。セラピストが勧めたスケジュールによって生活が慌ただしいものになるだけなら状況はさらに深刻になります。
また彼は、自宅用のセラピープログラムは障害のある子供を抱えて既に難しくなっている家庭の状況をさらに複雑にしてしまうと批判しており、医療やセラピーを提供する者は、家庭の事情を常に念頭におき、不必要な治療やプログラムを家族におしつけてはいけないとも述べています。
Karl
BobathとBerth
Bobathは、変形や異常な動きを防ぐ目的で、生徒の介助者にも姿勢管理のテクニックを説明するべきだと強く主張しています(Scrutton、1984年)。これは特に一日の大半を両親と過ごし、教育関係者との接触がない年齢の低い子供にとって重要な意味をもちます。この時期は両親が教育的な機会を提供するのが自然であり、学校に入り一日の大半を学校で過ごすようになったらそれは担任教師の役割となります。
Snell(1987年)も両親は意志決定に関わるべきだという点で意見は一致していますが、どの程度関わるかは両親が判断するべきであり、実際の指導にどの程度参加するかについても同様であるとしています。
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