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子供達は歩くことより先にハイハイを習得するべきではないのでしょうか。
もし全ての子供が、幼児の典型的な発達と同じ順序で座る、立つ、歩くことを習得できたらどんなに素晴らしいでしょう。しかし必ずしもそのようにはならない現実があることは明らかです。重度障害をもつ生徒を対象にMOVE発祥の地、ブレア・ラーニング・センターで行われた調査の結果、生徒達は運動技能を実によく習得し自分の力で動けるようになったグループと、植物状態になったグループに完全に分かれていたことがわかりました。7才を過ぎて運動技能が上達した生徒はほとんど見られず、また運動技能を身につけていなかった生徒のうち一人を除いて全員が発達段階を逆に進んでいた、つまり運動技能が後退していたこともわかりました。
Snell(1987年)によると、教師が重度障害をもつ生徒に対して意義のある指導目標を選択できないことが時にあるそうです。これは特に特殊教育分野での経験が浅い教師にあてはまり、最も一般的な発達評価法への盲目的な信奉に端を発しているとのことです。これらの評価法では、最初に指導するべき技能は、障害のない幼児が習得していく技能の中で生徒がまだ習得していない技能であるとしています。この発達理論方式の背景には、年齢の高い子供が行う技能を習得するには、その年齢より下の幼児が行う技能を全て習得していなければならないという考え方があります。教師たちは生徒に技能を教えることはできますが、それが生徒の日常生活におけるニーズとは何ら関係のないものであったり、また生徒の年齢よりもかなり下の子供が行う技能であるために、生徒の障害をかえって目立たせてしまう結果になることがよくあります。
重度の運動発達遅滞がある生徒にずり這い(お腹が床についたまま)を教えるのに何年もかかることは珍しくありません。また手と膝をついた高這いの姿勢を教えるのにも同じくらいの年数、さらにその状態でハイハイができるようになるにはそれ以上の年数がかかります。これは、最重度の障害をもつ生徒に対してどんなに熱心な両親、セラピスト、教師をもってしても、作り上げられるのはハイハイしか移動の手段をもたない22才の大人だということを意味します。ここで「大人は日常生活の中でどのくらいハイハイをしているのだろう。」と自問する必要があります。ましてたいていの人は早くにあきらめるために、生徒はハイハイどころか移動の手段をまったくもたずに学校を卒業することになります。
重度障害をもつ生徒のための特殊教育の最大の弱点は、何を教えるべきかの選択方法にありました。Snell(1987年)は、指導するべき技能の選択という過程が、生徒が受ける教育の質を決める最大の要因であると書いています。必要とする時間の差はあれ、実質的に全ての生徒が学ぶ力をもっていることは特殊教育に携わる教師たちが証明済みです。しかしながら必ずしも生徒の日常生活にかかわる技能、かつ生徒が大人になった時により多くの社会参加を可能とする技能を学んでいるとは限りません。最も成功した教師とは、介助者と頻繁に話し合い、生徒の現在かつ将来の生活の場となる「環境の調査」を行ったうえで、個々の生徒にとって何が優先されるべきかを選び出すことに時間と労力をかけた教師のことを指します。
以上のような考えに基づき、MOVEプログラムは、生徒が大人になった時に必要とする技能を身につけて公的教育を終えることを目指しています。生徒たちにはまず座位、立位、歩行を指導し、そのうえで指導時間がまだ残っていてかつ生徒にとって必要とみなされたのであれば、他の運動技能(ハイハイ、寝返り、台の上に乗る、横に歩くなど)にも取り組みます。
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