子供の遊びと機器
 那須地区広域行政事務組合 那須地区こども発達支援センター
                            「なすの園」 大武 ゆきえ


 
 なすの園でMOVEプログラムが始まって一年が経ちました。三菱財団の助成対象研究事業の一環でパイロットスタディーの対象施設となり、地元の国際医療福祉大学、作業療法学料の杉原素子先生、谷口敬道先生、MOVEインターナショナルトレーナーTMの白崎先生らとチームを組んで実践を行ってきました。
 率直に言って、始めた頃はこれまで行ってきた「発達段階」に即した指導との違いに戸惑うこともありました。まだ首がすわらないお子さんに、いくら本人が楽しくても立位や歩行の機会を作るといった発想は持ちにくかったのです。機能訓練に対しても、訓練の時間に行うものといった考えを漠然と持っていました。さらに、MOVEの機器に乗せることがイコールMOVEプログラムの実践、と誤解していたのも事実で、機器に乗るときには「次はMOVEの時間ですよ。」などと言っていました。しかしこれらの考えは、実際にプログラムを実践していく中でどんどん変わってきました。
 プログラムの開始時にゴールの設定をするため、「子供自身の希望、好きなこと」「親が子供に希望すること」等をインタビューするのですが、その時点で他の訓練方法とは大きく異なることに驚きました。また職員の意識の変化という点では、MOVEセミナーに参加したことと、リンダ先生がなすの園にいらして指導して下さったことが大きなきっかけとなりました。
 特にリンダ先生が一人一人のニーズに合わせて、MOVE機器を次々に新しい発想で使いこなしているのを目の当たりにした時は、目から鱗が落ちる思いでした。「機器に乗せることがMOVEプログラムなのではなく、一人一人が遊びや生活の中でやりたいこと必要なことを実現させるための援助プログラムがMOVEであり、機器はそのための一つの道具なのだ。」とはっきりわかりました。
 それ以後、明らかに園での機器の活用は変化してきました。機器に乗せることに振り回されるのではなく、どうやって保育や遊びの場でより楽しく子供が過ごせるように機器を利用しようかと考えるようになりました。そうなってみると、できることは驚くほどたくさんありました。
 月に一回行っている、地元のひがしなす保育園との交流会で積極的に機器を使いますと、これまでバギーやだっこで参加していたときは遠巻きにしてなすの園の子供を見ていた園児が、自分たちから積極的に関わりを持ってくるようになりました。
 また、園の保育時聞では、機器を使用することで坐位や立位など個々に適した姿勢を保特できるため、フィンガーペインティングや粘土遊びリトミックなど、保母として保育内容を充実させるという仕事により集中できるようになりました。これは子供たちに、質の高い保育を提供するためには重要なポイントだと思います。
 機器の活用は、保育の場での介助者の負担の軽減と、子供のより自立的な動きを可能にしました。何よりも嬉しいのは、子供たちの遊びへの意欲が強くなってきたと感じることです。
 リンダ先生が帰られるときに「これからも頑張って下さい。」と言うと、「何をいっているのですか。頑張るのはあなた方自身ですよ。」と叱咤激励されました。今後なすの園の保育をさらに楽しく、充実したものにするのは、私たち現場の職員の役目であると思っています。


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