どのような人が対象になりますか? |
MOVE |
一人で座る、立つ、歩くことができない人なら誰でも対象となります。障害の程度や重複度によってプログラムの成果は変わってきますが、実質的に全ての人が健康状態を改善させ、技能を向上させることができます。ただし、運動技能を向上させることが医療上のニーズに相反する、つまり奨励されない場合は例外です。 |
コンダクティブ・
エデュケーション |
簡単な指示に従うことができる人です。生徒は周囲の環境を把握し、グループの一員として行動することが求められます。これまでに、強い痙性のない脳性まひの生徒達に最も大きな成果が見られたと報告されています。また、二分脊椎をもつ人にある程度実践されているケースもあります。 |
従来の教育
プログラム |
サービスを受けるための条件(障害の状況、発達の程度、診断など)を満たしていると判断された人なら誰でも対象となります。成功するかどうかは、その生徒一人に割り当てられる時間、障害の程度や重複度、専門家が受けてきたトレーニングや経験に左右されます。サービスの内容は地域によって大きな差があります。 |
本人の認識力は必要なのでしょうか? |
MOVE |
いいえ。MOVEは認識する力がないと思われる人にも、正常の認識力がある人にも同様に実践することができます。ただし認識力の有無に関わらず、生徒本人がある程度自ら活動に参加する(つまり身体を動かす)ことが求められます。 |
コンダクティブ・
エデュケーション |
はい。ペト博士のプログラムを原型のまま使う場合は、生徒はグループの一員として行動しなければなりません。つまり、模倣することや指示や記憶に従うことが必要となります。ペト博士が最初に取り組んだ生徒達は、障害のない生徒と学習面で対等な力をもつことが求められました。 |
従来の教育
プログラム |
いいえ。精神遅滞が主な障害である場合、州によってはその生徒に対するサービスが診察・相談だけに限られる場合があります。また認識レベルの低い人に対しては、セラピストが姿勢とその保持にばかり重きをおき、本人自らの動きを軽視することもあるでしょう。 |
誰がプログラムの実践に関わるのですか? |
MOVE |
障害をもつ人に関わる人なら誰でも指導チームの一員となります。ゴールに関しては、両親や介助者が専門家の協力を得て設定しますが、運動技能の練習にはチーム全員が関わります。 |
コンダクティブ・
エデュケーション |
ブダペストのペト・インスティテュートにおいてコンダクターが養成され、プログラムを実施します。子供が自宅に住み、昼間学校に通っている場合は、両親が帰宅後や週末に実践します。 |
従来の教育
プログラム |
多くの場合、セラピストか特殊体育の教師、または両者が共にプログラムを実施するのみです。特殊教育学級に通っている生徒については、教師と補助教師が実践することもあります。 |
プログラムはどこで実践されますか? |
MOVE |
MOVEは場所を問いません。分離学級、統合学級、普通学級、家庭、またはリハビリセンター、その他の成人施設でも取り入れられています。 |
コンダクティブ・
エデュケーション |
子供のグループ、成人のグループと分けて分離学級の中で使われるのが最も一般的です。私立の施設で取り入れられるのがほとんどで、公的教育制度の中で実践されることはあまりありません。 |
従来の教育
プログラム |
運動技能プログラムはアメリカのほとんどの地域で、公的教育制度をとおして提供されます。サービスの質や普及度は地域によって大きな開きがあります。 |
どのような機器が使われますか? |
MOVE |
長距離の移動には主に車椅子を使います。ウォーカーやモービルスタンダー、補助つきの椅子が使われることもありますが、これらは生徒が運動技能を習得するまでの間に限られ使われます。補助を徐々に減らしていくことで機器への依存度を最小限にすることを目指します。機器がなくてもプログラムを進めることはできますが、実際にはほとんどの施設が機器を用意しています。 |
コンダクティブ・
エデュケーション |
使用する機器はたいてい限られており、薄い木製テーブル、背もたれのある椅子、背もたれのない椅子、また歩行のための手すりなどです。棒や輪を持って歩行訓練をすることもあります。車椅子は使いません。 |
従来の教育
プログラム |
典型的なセラピー室には、床マット、パッド付きテーブル、台、吊りブランコ、平行棒、様々な種類のウォーカーやスタンダー、また三角マットや大きなボール、ゆれる台などが用意されています。特殊体育は体育館や遊び場で行われるのが一般的です。機器の普及度は地域によって大きな差があります。 |
日常、どのようにプログラムが行われますか? |
MOVE |
日常生活または勉強の場面に関わらず、様々な活動を行う時に座る、立つ、歩くといった動きに自ら参加することが生徒には求められます。従ってMOVEは家庭、地域社会、学校といった様々な環境で実践されています。 |
コンダクティブ・
エデュケーション |
主に動きの時間と勉強の時間に分かれます。動きのプログラムは、寝た状態、座った状態、立った状態で行われ、歩行も含まれます。その際、決まった歌が何度も繰り返して使われます。一人で機能的に動けない生徒が活動に参加するときには、一人または複数のコンダクターが補助につくことになります。 |
従来の教育
プログラム |
地域によって大きく異なります。身体の動きを含む活動が、セラピーの時間以外にも特殊教育の場に組み込まれることもあります。しかし統合的な環境では、運動技能が重視されるのは特殊体育かセラピーの時間に限られるのがほとんどです。 |
費用はどのくらいかかりますか? |
MOVE |
人員について、MOVEプログラムを導入する際、スタッフを増員したりボランティアを利用する施設もありますが、それまでと同じ体制で行うところがほとんどです。またトレーニングのために費用が多少かかることがありますが、職員研修のための予算はどの施設でもたいてい用意されています。機器については、運動技能の指導や身体の大きい生徒を支える目的で必要な場合があり、それにかかる費用は生徒のニーズに応じて異なります。 |
コンダクティブ・
エデュケーション |
アメリカでは、CEは公的教育に組み入れらているというよりも、公的教育にかわる選択肢としてあるのが一般的です。コンダクターや補助員の養成、雇用、設備・備品にかなりの費用がかかります。たいていの場合、両親が資金を調達するか授業料を支払う、またはその両方を行っています。 |
従来の教育
プログラム |
学校が提供するサービスはほとんど無料です。しかし残念ながらそれらのサービスは短時間に限定され、しかも十分といえるような頻度ではないために、両親が費用を負担して追加のセラピーを受けることもあります。家庭で使用する機器を用意するのは両親の責任である場合がほとんどであり、地域によっては学校で使う機器も両親が提供しなければならないところがあります。 |
生徒達の上達はどのように測定されますか? |
MOVE |
MOVEカリキュラムには、統括的なトップダウン・モーター・マイルストン・テスト、補助減少プラン、ゴールの記入欄、課題分析があり、これらを活用することができます。両親もゴールの設定、上達度の測定に参加します。 |
コンダクティブ・
エデュケーション |
生徒を継続して詳しく観察したうえでの評価が、生徒のニーズ、上達度、潜在性を判断する際の基礎となります。図表やチェックリストといったものは一般的に使われず、あっても不適切とみなされることがあります。 |
従来の教育
プログラム |
学区や組織によってそれぞれ異なった評価方法、経過記録の方法を採用しています。ただし一般的に、実用的な技能が身についているかというよりも、筋緊張の度合い、関節の可動域、反射などが評価の対象となっています。これらの要素は技能が実用的に使えるかを見るテストに比べ、より主観的な判断結果を導くものであり、そのために活動を基礎とするプログラムと直接比較することはできません。 |
プログラムに対してよく聞かれる批判はなんですか? |
MOVE |
- 機器が高価である。
- 施設によっては、新しい職員に対し、MOVEプログラム実践のための正式なトレーニングが行われない場合がある。
- 運動技能を指導するのは自分の仕事ではないと思いこんでいる教師がいる。
- 運動技能についてはセラピストだけが取り組むべきだと思いこんでいるセラピストがいる。
- 多大な労力を要する。
- 経営・管理側からの支援を必要とする。
- MOVEプログラムを実践していると主張していても、実際には機器を使っているだけ、あるいは部分的に取り入れているだけの施設がある。
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コンダクティブ・
エデュケーション |
- かなりの費用がかかる。
- 認定されたコンダクターを見つけるのが難しい。
- 正式な形のCEを公的教育の枠組みの中に取り入れることは実質的に不可能である。理由として、コンダクター採用の問題、そして特殊教育の現場では様々な障害をもった生徒が入り交じっていることがあげられる。
- 一人の生徒に対し、通常より多い数のスタッフが必要となる。
- 多大な労力を要する。
- 両親が仕事を持っている場合など、子供のために家庭で十分な時間を割けられないことがある。
- 資金調達が困難である。
- 重度の運動障害をもつ全ての人にCEが適切なプログラムであるとは限らない。
- 障害をもつ生徒が普通学級にいる場合は、正式なCEを実践することができない。
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従来の教育
プログラム |
- 障害をもっていることが明らかな場合でも、サービスを受けられないことがある。
- 時間が限られていることが原因でプログラムが効果を発揮できないことがある。
- 実施方法やゴールについて、異なる分野の専門家の間で意見が必ずしも一致しない。
- ある環境で学んだことが必ずしも他の環境で生かされない。
- 専門家が自分の専門分野のみに集中し過ぎることがある。そのために生徒が実用的な活動の中で技能を応用して使うことができない事態を招く。
- それぞれの生徒が抱える問題が多すぎて、生徒のニーズを適確に把握して取り組むことが難しい。
- 事務的な書類の処理や手続きが、生徒や両親のニーズを満たすためではなく、経営・管理側の都合に合わせたものになってしまっている。
- 専門家個人の信条や受けてきたトレーニングによって、サービスの効果や質が左右される。
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